皆さんは住宅の内見の際にどこを気にして見ているでしょうか。半分以上がなんとなく立地や室内が綺麗かどうかなど気にして見ているのではないでしょうか?
内見は購入を判断するうえで貴重な機会です。この内見が良い購入判断の鍵を握っていると言えます。
内見はただ物件を見て綺麗か汚いか?場所は良いかどうか?など表面的なところばかり気にしていると大事なポイントを見落としてしまい、購入してから後悔することになります。
そこで後悔しないためにも内見時に必ず確認しておきたい注意ポイントを説明していきます。
内見とは?
そもそも『内見』とは中古住宅やマンションなど完成済みの物件を見学することを意味しています。
『内覧』は新築住宅や新築マンションなど完成したばかりの物件やモデルルームの見学の事を一般的には言います。『内覧』『見学』など言い方は様々ですが、どれも物件を見学する事を指します。
内見の流れ
内見の流れは大まかに5つのステップがあります。
- 物件問い合わせ
- スケジューリング(日程調整)
- 待ち合わせ(現地or不動産会社待ち合わせ)
- 内見
- 商談(お店に戻って相談)
上記の流れで内見することが一般的に多いです。複数の物件を内見する場合は担当者と一緒に車で移動することもあります。
内見後はお店に戻って物件の感想やヒアリング、ほかに条件に合う物件があれば紹介してもらうことも可能です。
内見時の注意ポイント
内見時の注意ポイントは様々ありますが、『室内』『外部』『環境』の3つに分けることができます。
上記の3つの前に大前提として可能であれば、次の2つを実行することでスムーズに内見~物件購入まで行えます。
- 内見は家族全員(一緒に暮らす人)で行う
- 複数の物件を内見する
なぜこの2つが重要かというと物件を決めるときの時間を節約するためです。
よくある例が、夫婦どちらかだけが内見するパターンです。どちらかが気に入っていても、一方が気に入っていない場合もあります。あとから再度夫婦そろって内見しても決められない状況になってしまいます。
これだと時間がかかってしまい購入したい物件があったとしてもほかの人が申込してしまう可能性もあります。
このようにならないためにも可能な限り内見は一緒に住む家族全員で行うようにしましょう。
また内見時は複数の物件を内見するようにしましょう。これは比較対象ができ目利きができるようになるためです。実際に内見してみないと見えてこない部分もああるため必ず複数の物件を内見するようにしてください。同じ日に複数の物件を内見すれば、先ほどの時間短縮にも繋がってきます。
室内の確認すべき注意ポイント
室内の確認すべき注意ポイントを5つに分けて説明していきます。
- 水回り
- 内装・設備の状態
- 間取り・部屋の向き
- 床や壁のゆがみ、傾き
- 収納スペース
1.水回り
水回りとは主にキッチン、洗面所、お風呂、トイレなど水を利用できる設備の事を言います。水回りは生活していく上で利用頻度が最も多い部分と言えます。
水回りの不具合修理、交換は費用が高くなりやすいため不具合があるかどうかは重要です。またほかの部分に比べて使用年数によって劣化、使用感が出やすい部分でもあります。
いくら綺麗に使用していてもほかの人が使用していたと考えると嫌煙する人も多いのではないでしょうか?
特に配管の不具合などによる水漏れがあると『木部の腐食』『カビの発生』『シロアリ被害』など二次被害につながります。そのため水回りにシミやカビがないか?過去に不具合がなかったか?担当者に確認するようにしましょう。
2.内装・設備の状態
内装・設備に状態が悪くても水回りほど不便はしませんが、快適に生活するためには確認は欠かせません。確認と言っても内見して確認してもらえれば見落とすことはほとんどないはずです。
内装の状態は主にクロスの色合い、剥がれ(壁、天井)、床面の傷・剥がれ、建具(扉、窓など)の不具合などがあげられます。
補修、交換の費用は水回りほどではありませんが建物面積が大きいとその分費用が増えます。(建物が大きい=補修部分が多いため)
床や建具はハウスクリーニングや部分補修でも十分そのまま使用できるため問題ありませんが、クロスはたばこの黄ばみや以前住んでいた家族構成(小さい子供がいる、ペット飼育など)によっては悪い状態の物件もあります。特に湿気がこもる家であれば窓サッシのカビが付きやすいためチェックするようにしましょう。
設備の状態は冷暖房や給湯器(ボイラー)、換気扇、網戸など建物に付随する設備があげられます。
設備で見落としがちなのがコンセントの位置です。各部屋、水回り、廊下など各部分でコンセントがどの位置にあるのかは家具、家電の配置に影響してきます。そのため購入後にコンセントが足りなくて思うような家具・家電の配置ができなくなるので確認をしておきましょう。
中古住宅で売主が個人の場合は購入後の設備の不具合は買主負担で対応することがほとんどです。そのため不具合の有無、交換した時期は必ず確認するようにしてください。
また冷暖房設備は各部屋に必ずついているわけではないため、設置されているかどうかも必ず確認しましょう。
3.間取り・部屋の広さ
間取りは内見の際に不動産会社から資料を貰うことができるため確認することができます。間取りの確認の際に気をつけたいことは部屋の広さ(寸法)です。
部屋の広さの表記は~帖と記載されていますが、寸法によっては実際に同じ記載がされていも物件によって大きさが違う場合があるためです。さらに空き家であれば空っぽのため広く感じやすくなります。家具などを配置したときの広さもイメージしながら見るようにしましょう。
可能であればメジャーを持参して大きさを測れるように準備していくと良いでしょう。生活した時の家具の配置なども考えやすくなります。
もう一つ気をつけたいポイントが部屋の向き(方角)です。方角は南向きが日当たりが良く北向きが日当たりが悪いと言われています。しかし、実際にはその土地の形状や近隣の建物の状況によっては異なってくることもあります。そのため間取りを確認しながら方角と日当たりも必ず確認してください。
また照明をつけて明るくして案内するため、どうしても日当たりが気になる場合は照明を消した状態でどのくらいの明るさなのかを確認すると良いでしょう。
4.床や壁のゆがみ・傾き
床や壁のゆがみ・傾きはなかなか気付きにくいポイントです。
壁のゆがみは扉の開閉に影響がでるため、各部屋の扉の開閉ができるかどうか確認すれば問題ないです。しかし、建物が傾いているのか?床が傾いているのか?の判断は素人だと難しいため、専門家に問題がないか見てもらう必要があります。
床のゆがみで傾いているのであれば簡単な補修で修復できますが、建物自体が傾いている場合は基礎から補修が必要になり費用が増えてしまいます。また長期的に考えると購入後に傾きが大きくなる可能性もあります。
そのため内見して立っている感覚で傾きがわかるようであれば専門家に確認してもらうことをお勧めします。
しかし、傾きはどの家にでも存在しています。軽度の傾きであれば大きな問題はないです。そのため気にしすぎて購入を決断できなくなってしまうようなことは避けましょう。
5.収納スペース
収納スペースは間取り図面にも記載されており、どのくらいの収納スペースがあるかを確認することができます。ですが、実際に内見した時に内部まで確認することが重要です。
なぜなら内部は湿気がこもりやすくカビやシミなどの汚れがあるためです。売主が居住中の場合は洋服や荷物が入っているため事前に内部を見ても良いか確認してもらいましょう。
収納スペースの内部まで確認することで
- 荷物がどのくらい収納できるか?
- 棚やタンスがどのくらい必要なのか?
を把握することができ無駄なタンスの購入などを防ぐことができます。
外部の確認ポイント
室内も重要ですが、外部も同じくらい重要です。外部の確認ポイントは『外壁・基礎』『屋根・軒下』『塀・フェンス』があります。
どれも補修や修全が必要な場合は高額になるため重要な確認ポイントになります。
それでは順番に説明していきます。
1.外壁・基礎
外壁の確認は外から見て簡単に判断することができます。
- 色が落ちている
- 触ったら粉がつく
- 外壁が沿ってきている
- 外壁にクラック(亀裂)がある
上記のように確認することができます。一般的な外壁は10~15年ほどで塗装、補修が必要と言われています。そのため建築後10~15年を経過している場合は補修歴があるか確認しましょう。
基礎も同じように見てクラックがある場合は注意が必要です。基礎はモルタルという化粧材(コンクリート)で表面が覆われています。そのためクラックがあっても表面のモルタル部分のみであれば簡単に補修できます。この判断はクラックの幅が0.3㎜以内かどうかで判断します。
0.3㎜以上のクラックの場合は基礎の本体に問題がある可能性があります。そのような場合は修復するために費用が大きくかかってきます。
事前に基礎の状態も確認するようにしましょう。
2.屋根・軒下
屋根も外部で重要な部分です。屋根が劣化していると雨漏れの原因になりやすいためです。屋根の確認も外から見て確認することができますが、形が四角い家は屋根が外から確認できません。
そのため売主に屋根の塗装や補修歴の確認をするようにしましょう。
屋根の塗装は10~20年に一度は行った方が良いと言われています。そのため築年数と比較して行っていないようであれば購入時に行うことをお勧めします。
軒下は屋根の構造によってはあるものとないものがあります。軒下がある場合は外から見て雨だれやシミ、破損個所がないか確認できます。
破損がある場合は補修が必要なため見落とさないように気をつけましょう。
3.塀・フェンス
外部で見落としがちなのが塀・フェンスの不具合です。塀やフェンスが劣化によって破損していたり傾いている場合は注意が必要です。
特に敷地内に設置している塀が傾いて隣地に侵入していたり、万が一倒れてしまい隣家を破損してしまったりトラブルになる可能性が非常に高いです。
敷地内に塀やフェンスを設置している場合は確認するようにしましょう。
また塀や隣地との境界の真ん中に位置しているときで、破損がある場合は近隣住民と相談することも大事です。費用の負担をどうするのか事前に確認してもらえる場合は不動産会社に聞いてもらうようにすると良いでしょう。
環境の確認ポイント
物件の室内、外部のポイント以外にも周辺環境の確認も生活していく上で非常に重要です。物件が問題なくても環境に問題がある場合は自分の力で改善することができないため、重要な要素となります。
購入前に内見して確認が漏れないようにしましょう。
1.騒音・臭い
騒音で一番気をつけたいのが電車や車などの交通機関です。線路が近くにあると電車の音が気になって生活に影響が出る場合があります。窓を閉めていれば気にならなくても窓を開けたときに気になるようであれば、夏に窓を開けられないこともあり得ます。
また大きい主要道路が近くにあると車の交通量が多いため騒音に注意が必要です。窓を開けないのであれば、気にしなくても良いかもしれませんが内見時に音がどのように感じるかも確認してみましょう。
臭いについては外に出ていればわかることもありますが、近くに畜産農場や牛舎、飲食店がある場合は時間帯によっては臭いがする場合があります。
この点はマップアプリで周辺環境を確認したり、売主に確認してみると良いでしょう。
2.交通機関
購入する上で立地を重要視する人は多いため交通機関は事前に確認することは多いのではないでしょうか?
電車、バスの駅は近いのか、最寄り駅はどこなのか、徒歩何分なのか、時間帯はどうなのかなど事前に確認するようにしましょう。
車を使用するから交通機関は確認していない人でも、将来的に子供の通学時に使用する可能性がある場合は必ず確認しておきましょう。
3.近隣住民
近隣にどんな人が住んでいるか気にする人も多いです。実際に内見した際に近隣住民にどんな人が住んでいるかはなかなか確認しづらいポイントです。ここは売主に確認できるのか、不動産会社に聞いてみることをお勧めします。
自治体によっては町内会があるため、交流があるかどうかも確認しておくと近隣住民との付き合い方が把握できます。不動産会社に確認してみると良いでしょう。
4.事件・事故の有無
物件内での事件・事故は告知義務があるため、不動産会社に確認すれば問題ないです。しかし、近隣での事件・事故については不動産会社によって説明が曖昧な場合があります。
売主に確認するか、不動産会社にお願いして近隣住民への聞き込みを行ってもらえるか確認してみましょう。自分で確認できる方法は事故物件情報をまとめている大島てるで確認してみると良いかもしれません。
あまり気にする人でなければ確認しなくても問題ないですが、知らないよりは知っている方が気持ち的には良いため確認できる範囲内で確認することをお勧めします。
その他の確認ポイント
『室内』『外部』『環境』で共通する内容で確認しておくべきポイントがリフォーム履歴です。
もう一つ売主の売却理由も確認すべきポイントの一つです。このポイントについて説明していきます。
1.リフォーム履歴
ここまで説明してきた内容で共通する部分はリフォーム履歴の有無についてです。
リフォームした箇所がある場合は、いつ行ったのか時期を確認しましょう。5~10年以内にリフォームしたことがある箇所は改めてリフォームする必要性低いためです。どうしても状態が悪かったり、使用したいメーカーの物がある場合はリフォームするようにしましょう。
2.売却理由
売却理由も内見時に確認しておきたいポイントです。売却理由が近隣住民とのトラブルや離婚、建物の不具合による場合だと購入する側としても重要な要素となってきます。必ず売却理由も確認するようにしましょう。
建物が気になる場合は住宅診断(ホームインスペクション)
建物の状態がどうしても気になる人は「住宅診断(ホームインスペクション)」をお勧めします。住宅診断とは家の健康診断のようなもので、建物の不具合を住宅診断士(ホームインスペクター)が検査するものです。
この住宅診断士はJSHI公認の住宅のプロに与えられる資格で、住宅の不具合をチェックしメンテナンスの的確な時期をアドバイスすることができる「住宅の専門家」と言えます。
費用は5~10万円ほどで行うことが可能で、
- 外周りの状態
- 室内の状態
- 床下の状態
- 小屋裏・天井裏の状態
- 設備の状態
を診断することができます。
建物の傾き具合や雨漏れの有無、床下のシロアリ被害を確認することができるので、どうしても建物の状態が気になる場合は購入前に住宅診断を行うようにしましょう。
まとめ
このように内見時はに気をつけるべき注意ポイントを説明してきました。内見は購入を判断するうえで貴重な機会です。
説明してきた注意ポイントを確認して後悔しない購入ができるようにしましょう。
室内の確認ポイント | 注意ポイント |
---|---|
水回り | ・キッチン、洗面所、お風呂、トイレの確認をする ・水漏れ被害がないか |
内装・設備の状態 | ・クロス(壁紙)の色合いやはがれている部分がないか ・冷暖房機、給湯器、換気扇の付随設備の状態、交換時期 |
間取り・部屋の広さ | ・メジャーを持参して部屋の広さ、家具の配置を確認する ・部屋の方角、日当たり |
床や壁のゆがみ・傾き | ・床や壁のゆがみ、傾きを確認する ・専門家に診断してもらう |
収納スペース | ・収納の内部にシミやカビがないか ・収納の大きさ、奥行きを確認する |
外部の確認ポイント | 注意ポイント |
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外壁・基礎 | ・外壁の色合い、反り、クラック(亀裂)があるか ・基礎に0.3㎜以上のクラックがあるか ・外壁の塗装の有無、時期 |
屋根・軒下 | ・塗装。補修の有無、時期 ・軒下の破損個所の有無 |
塀・フェンス | ・傾きがないか ・破損個所がないか ・隣地と共有の塀の場合は折半して補修できるか確認する |
環境の確認ポイント | 注意ポイント |
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騒音・臭い | ・電車や車の騒音の確認 ・飲食店、畜産農場、牛舎の臭いが気になるか |
交通機関 | ・電車、バスの最寄り駅の確認 ・最寄り駅までの時間確認 |
近隣住民 | ・近隣住民との関係 ・自治体による町内会、集会の有無 |
事件・事故の有無 | ・近隣で事件、事故があったか |
その他の確認ポイント | 注意ポイント |
---|---|
リフォーム履歴 | ・リフォーム履歴の有無、時期 |
売却理由 | ・売主に売却理由を確認する |
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